その時、僕たちは‥‥

2/3
前へ
/53ページ
次へ
「‥‥‥そう言えば、その、僕も。」 その時、拓磨も又、未季の言葉に続くかの様な態度を振る舞おうとした。 「‥‥‥僕も、何だか、あのオバさんは少しヘンな気がする。。。」 「今は、そんな事、気にしてる場合じゃ無いだろ?‥‥‥俺達には関係無いし。」 如何にも訝しげな面持ちで呟く修二の言葉には気にも止めず、遠ざかって行くその中年女性の背中をずっと見つめ続けている未季。彼女はそっと、修二と拓磨のふたりに促すかの様に呟いて見せた。 「‥‥‥何だか、あのオバさん、心配かも。皆で、後を追い掛けましょ?」 そう言って、未季は、遠ざかって行く女を追い掛けるかの様に駆け出すのであった。その後を追うかの様に連れ立って駆けて行く拓磨の姿。そして、修二もやるせない表情を浮かべながら付いて行こうとする。 「‥‥‥オイッ、待てよ!こんなトコロで俺を独りにするなヨォ〜〜。。。」 ‥‥‥‥‥‥‥‥‥。。。 その女は、虚ろな表情を浮かべながら、トボトボと歩き続けていた。その後ろから、女の背中越しに気付かれる事も無く、忍び足で付いて行く修二・拓磨・未季の姿。やがて、女の足取りは、人気の無い森林地帯へと辿り着いていた。‥‥‥その女は、何処へ向かおうとしているのか?‥‥‥何をしようとしているのだろうか? 修二達の姿には気付く事も無く、森林地帯の只中まで足を踏み入れていたその女は、何百年もの昔から聳え立っているであろう大樹、所謂、御神木と呼ばれるに相応しいであろう老木の傍らで歩みを止めた。 「‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥。」 女は、その老木を見上げて、しんみりとした面持ちで見つめていた‥‥‥。女は、ポツリと一言、呟いた。 「‥‥‥これが、私の運命なのかネェ。」 そう呟いたかと思うと、唐突に、女は懐に忍ばせていた麻の縄を取り出し、老木の枝に結え付け、‥‥‥今、正に、首を吊ろうとしているのであった!
/53ページ

最初のコメントを投稿しよう!

7人が本棚に入れています
本棚に追加