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「‥‥‥いけない。‥‥‥止めなくちゃ!」
思わず、‥‥‥未季が叫ぶ!!!
そして、修二たち3人は、女の傍らへと急いで駆け寄り、その女の行動を制止しようとするのであった。女は、泣き喚きながら、修二達に向かって叫ぶ。
「‥‥‥アンタ達、お願いだからアタシの邪魔をしないでぇ!‥‥‥アタシなんて、アタシなんてぇ、‥‥‥生きてても仕方が無い人間なのよぉぉ〜〜〜!!!」
‥‥‥‥‥‥そして。
其処は、老木から少し離れた先にある、震災の被害で倒れてしまった、枯れ果てた大樹の跡。その大樹に腰を降ろして、修二達は、その女から話を聞いていた。
「‥‥‥実は、アタシ、震災のドサクサに紛れて、振り込み詐欺に騙されてしまってネ。だから、いっその事、死んでしまおうと思ってさぁ。‥‥‥全く、タチの悪い輩って、ヤだよネェ。。。」
「‥‥‥‥‥‥‥‥!?」
その女の名は、名取 君枝と言った。
彼女は、確かに、そう名乗っていた。
君枝の話に因ると、今迄に至る詳しい実情はこうである。彼女の住まいは、岩手県宮古市の隣町にある花巻市である。彼女は、その町で、生涯の伴侶である夫・周平と一人息子である太一との3人で一緒に暮らしていた。やがて、太一は、成人式を迎えると同時に、東京の町にある商社へと勤務する事となり、上京するに至っていた。花巻市にある彼女の住まいも、今では夫・周平との愛の巣へと変わっていたのだけれど‥‥‥。
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