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あの頃の僕ら
『 人の世は 死して屍 白き雪 』
その日、桜の花弁は、名残り雪の如く、澄み渡る美空を麗しく彩っていた。小川のせせらぎが、とても穏やかな日でもあった。爽やかな風が新しい季節を運んでやって来る。移り変わる季節の中で小鳥たちが‥‥‥。
『 ‥‥( ;∀;)٩( ᐛ )و( ^∀^)。』
『 ‥‥‥オハヨ〜!‥‥‥キョウモイチニチガンバロウネ。。。』
‥‥‥等と囁き掛けて来る。所詮は、この世の何もかもが小鳥のさえずり。なのかも知れないけれど。
早朝を迎えると同時に、新聞配達人が早起きをし、一軒一軒新聞を配って回る。不眠症に苛まされている老人は、健康の為を思い、庭先に出て、のんびりとラジオ体操を始める。やがて、会社勤めのサラリーマンや学生気取りの子供達がゾロリゾロリと起き出して来てから賑やかになり‥‥‥。
「‥‥‥ねぇ、お母さん。ワタシの靴下、何処にあるの?」
家庭の主婦は、朝食の準備の手を止めて、
「‥‥‥何時もの引き出しの中にあるんじゃ無いかしら?」
そして、顔を洗い、歯磨きをしてから食卓の席を囲み、朝食を済ませてから順々に、
「‥‥‥行って来ま〜す!」
と元気良く、家族に挨拶をして、通勤や通学の為に出掛けて行く。まるで、それが当たり前であるかの様に繰り返される、その様なありふれた毎日‥‥‥。
その日も、何事も無く、一日が過ぎようとしていた。
‥‥‥‥‥ところが!
その悪夢は、‥‥‥何の前触れも無く、足音を立てる事も無く、突然に押し寄せて来たのである。
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