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その日の朝も、水道の蛇口から汲んだ、コップ一杯の水道の水を、修二は、拓磨と未季に手渡すのであった。
「‥‥‥ワタシ、こんなの、もうヤだ。」
未季は、コップを受け取ろうとはせず、ひと言だけそう呟いて見せた。
「‥‥‥‥‥‥‥‥‥。。。」
修二と拓磨も、成す術も無く、俯き口を閉ざしているばかり。丁度、その頃‥‥‥!
「‥‥‥ダメじゃ無い、お母さん。此処には暫くの間、戻っては来れないんだから。」
「済まないネェ。‥‥‥今し方、火に掛けてたビーフシチューの事を思い出してネ!」
どうやら、蛻の殻となってしまっていた民家の住人が戻って来てしまった様である。修二が、小声で息を殺して、拓磨と未季に向かって呟いた。
「‥‥‥ナァ!‥‥‥これって、ひょっとしてマズくないか?」
「‥‥‥‥‥‥‥‥‥。。。」
修二・拓磨・未季の3人は、少しも音を立てる事も無く、差し足・抜き足・忍び足を決めたまま、一目散に家の外へと逃げ出した!束の間の安住の地も、瞬きの合間に、失ってしまった修二達。再び、修二達は、途方に暮れたまま、瓦礫の町並みの中を彷徨い続けているのであった。
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