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「‥‥‥アンタ達さぁ。‥‥‥他人のお金なんか奪ってしまって、それで一体、何を手に入れようとしたい訳?」
「‥‥‥そ、それはぁ。」
拓磨と未季は、そして、修二も、那由蛇の問い掛けに、思わず、言葉を詰まらせてしまっていた。恐る恐る、修二が、口を開けた。
「‥‥‥何か食べなきゃ、生きていけないから。だから、その、つまり。」
その様な修二の仕草を眺めながら、那由蛇は3人に話した。
「‥‥‥そこまでして、アナタ達は、何がしたいの?‥‥‥何の為に生きてくの?」
又もや、言葉を詰まらせてしまう修二達。その時、那由蛇は、子供達を抱き止めるかの様な思いで、3人に話した。
「‥‥‥アナタ達、親を恨んだ事って、あるかしら?‥‥‥でもネェ。アナタ達の親も、今のアナタ達と同じ気持ちだったと思うわよ?‥‥でも、そのまま一緒に死ぬ様な思いをするくらいなら、せめて、アナタ達を幸せにしてくれる人に世話をして欲しい。そんな想いで、アナタ達を施設に預けようとしたんじゃないかしら、多分だけどネ?」
思わず、修二と拓磨は、僅かながらにも笑みが溢れた。しかし、未季は、唐突に涙を溢しながら、何やら叫び始めた。
「‥‥‥で、でも。‥‥‥アタシ、ワタシ、親なんていないし。‥‥‥ワ、ワタシも死んでしまいたいヨォ〜〜!」
「ガタガタ抜かしてんじゃねぇゾ、このクソガキぃ!‥‥‥泣きゃー済むってモンじゃねぇんだよ、このデコスケ!!!」
思わず、鬼の様な形相になる那由蛇の表情に怯えてしまい、息を詰まらせて、そのまま泣き止んでしまう未季の姿。その様な彼女に、優しく那由蛇は語り掛ける。
「‥‥‥アタシも、未季ちゃんと一緒。だからこそ、アタシは、旅を続けてるの。それにさぁ!‥‥‥‥旅して回らなきゃ、出会えないモノだってあるからネェ。。。」
ふと、那由蛇は、屋台車の方へと視線を向けて見ると、何時の間にか屋台では長蛇の列の野次馬の姿で賑わっていた。
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