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「‥‥‥ゴメンなさいね、こんなモノしか残って無くてぇ!」
そう言って、那由蛇が、修二達の目前に差し出したのは、チャーシューやワンタンをてんこ盛りにした一杯のラーメンであった。
(‥‥‥‥‥‥ゴクリッ!)
那由蛇は、修二達のひとりひとりに箸を一膳ずつ手渡して、呟いた。
「‥‥‥皆で仲良く食べなさい!」
「‥‥‥‥‥‥‥‥‥。」
修二達は、互いに譲り合いながら、スープをひと口レンゲで掬って、喉奥に流し込んだ。コトコトと長時間煮込まれたチャーシューの煮汁のコクと旨味の薫りが、思わず口の中一杯に広がる。まるで、ハラワタに染み渡るかの様な味わいだったかも知れない。
「‥‥‥お、美味しい〜〜〜!!」
修二達は、深い溜息を吐いてしまっていた。その時、那由蛇は、まるで勝ち誇ったかの様な面持ちで、満面の笑みで答えた。
「‥‥‥でしょ?‥‥‥一生懸命働いた後やお腹の空いてる時は、何食べたって美味しく感じちゃうものなのよぉ。まぁー、最も、アタシのラーメンの味付けは、何時、何処で食べても、年がら年中デリッシャスなんだろうけどネェ!?」
「‥‥‥‥‥‥‥‥‥。」
修二達は、黙々と一杯のラーメンを食べ始めた。その様な無邪気な様を眺めながら、那由蛇は、ゆるりと話し始めた。
「‥‥‥確かに、アタシ達の様な人間は、自分達の都合で、家畜だとか害虫・雑草だなんて身勝手に決め付けて、他の生き物の生命を奪って生き続けているわ。それって、決して許されてはならない罪なのよ!‥‥‥だからこそ、アタシ達は、自分の人生について、もっと真剣に向き合わなければならないと思うのよ。その為の時間が必要なの。それは、お金なんかよりも尊いモノの筈よ?」
「‥‥‥‥‥‥‥‥‥。。。」
食べ終わった修二達は、那由蛇の言葉に静かに頷くのであった。
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