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未季が、那由蛇に向かって、恐る恐る尋ねるのだった。
「‥‥‥あの、‥‥‥ラーメンのお金は?」
「‥‥‥‥‥お金?」
その時、那由蛇は、何やら意味深な表情を浮かべながら答えた。
「‥‥‥そうねぇ。普段は、八百円って言いたいトコだけど、事情が事情だしネ。分かったわ!‥‥‥今日は、特別に、出血大サービス、3万円に負けといたげる!」
「‥‥‥‥‥‥‥‥。」
思わず、修二達は、顔面に青筋を立ててしまっていた。
「‥‥‥って、冗談に決まってんじゃ無い。アンタ達、お金持って無いんでしょ?持って無い人からお金なんて取れないじゃ無い。」
「‥‥‥で、でも。」
「その代わり、約束してくれる?‥‥‥もう二度と、馬鹿な真似はしないって!」
その様な那由蛇の優しさが、安堵感へと繋がってしまったのか、思わず、修二達は、那由蛇の胸元にしがみ付いて、泣き始めたのであった。那由蛇は、修二達に話した。
「‥‥‥オォォ、よしよし。何だか、怖い思いをさせてしまったわネェ〜。」
未季が、那由蛇に呟いた。
「‥‥‥ううん、オジさんの顔の方が、もっと怖い!」
「まぁー、失礼しちゃうわネェ!‥‥‥お姉様とお呼びィィ!!!」
そう言いながらも、僅かながらにも仄かな笑みを浮かべていた那由蛇。その時、何を思い出したのか、唐突に、那由蛇は屋台車の傍へと向かって行った。そして、再び戻って来て那由蛇の手元にあったモノとは。
「もう少しで忘れるトコだったわ!‥‥‥これ、少ないけど、今日の御褒美のお裾分けなんだけど、貰ってぇ!」
そう言われて、修二達が那由蛇から手渡されたモノとは、『給料袋』と記された茶封筒なのであった。。。
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