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「‥‥‥こんな夜更けに、こんな場所でひとりでどうしたの?」
彼女は、倒れているアタシの傍らへと駆け寄って来て、心配そうな面持ちで話し掛けて来たわ。
「‥‥‥アナタ、お名前は?」
「‥‥‥ボ、ボクは。」
「何かあるといけないわ。話は後、後。私と一緒においでなさい。」
そう言われて、アタシは、その女性に連れられて、民家が建ち並んでいる村へと訪れたのではあったものの‥‥‥。その女性のお家は小洒落た一軒のラーメン屋さんで、一階はレトロな作りのお店になっていて、二階が住まいとなっている。決して、煌びやかとは言える程では無いのだけれど、それでも、アットホームな気持ちにさせてくれる様な雰囲気を醸し出してくれている。その頃のアタシにとっては、住めば都だったかしらネェ。
彼女の名前は、新野舞子。そうねぇ‥‥。結局、彼女からはアタシに自分自身の事は話しては貰えなかったのだけれど、舞子から御馳走になった一杯のラーメンの味は、今でもハラワタに染み渡る程に記憶の中に眠り続けてるのよネェ‥‥‥。
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