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「‥‥‥ひょっとして、お腹が空いてるんじゃ無いかしら?‥‥‥こんなモノしか用意出来ないんだけど、どうぞ召し上がれ!」
(美味しいお料理を作れる人間の中には、悪人なんていない!)
根拠も無く、荒唐無稽なお話かも知れないけれど、アタシは、今でもそう思っているの。だって、其処には、何時も心がお星様の様に輝いている筈なんですもの。
舞子のお店は、常に商売繁盛・満員御礼の大賑わいの毎日だったかしらネェ。舞子とふたりでの暮らしにも慣れて来た頃、気が付くと何時しかアタシも彼女の仕事のお手伝いをする様になっていたんだけれど‥‥‥。
そんな或る日の事。常連らしいお客のひとりが舞子に向かって呟いた。
「おや、舞ちゃん。人、雇ったのか?」
舞子は答えた。
「まあねぇ。この子、行く宛も無い様子だったから、何かと心配になってしまって。それに、私がこの子に教えて上げられる事って言えば、ラーメンの作り方くらいだし。でも、この子、センスあるのよ。むしろ、私の方が助かってるみたい。」
舞子は、アタシに話した。
「‥‥‥この人は、山咲健吾さん。周りの皆からは、山ちゃんで通ってるのよ。早速で悪いんだけど、注文聞いてくれる?」
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