モノローグ 〜 那由蛇の独り言

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「‥‥‥おっ、今日はボウズだけか。舞ちゃんはどうしたんだ?」 山ちゃんは、お店の近くにある製麺所のオーナーさん。ヤマサキ製麺所って言えば、この村で暮らしている人間で知らない人はいない程で、山ちゃんは、村の中では一応、有名人みたい。筋金入りのラーメン好きのオジさんで、舞子のお店で使っている麺は、彼の営む会社から取り寄せているみたい。舞子ママとは、10年以上ものお付き合いらしい。 「‥‥‥実は、舞子ママは。」 その時、アタシは、舞子がいなくなった日の事情の一部始終を山ちゃんに話した。でも、彼は、眉一つ動かさずに息を溢した。 「‥‥‥案外、想い人ってモンは、待ってるだけじゃ手に入りゃしねぇ。‥‥‥どうだ。日常の暮らしなんか捨てて、その想い人を探す旅に出たいとは思わねえか?」 「‥‥‥‥‥‥‥!」 「別に、店の事とかの心配はする必要は無いからよ!‥‥‥そんな事は、俺たちに任せておけば良い。その代わり、ボウズは、あの舞ちゃんの笑顔を連れて、戻って来てくれればいいんだからよ?」 「‥‥‥‥‥‥‥‥。。。」 その山ちゃんの一言が、アタシが旅を続けるキッカケをくれたの。そんな最中、東日本大地震での被災地で、アタシは、修二君・拓磨君・未季ちゃんと出会った。何の為に生きてくのか?‥‥‥そんな想いを感じさせてくれたのは、まだ幼い子供達だった。 アタシの夢は、これから先、彼等の向かう空の彼方へと繋がるのだった!
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