ト書きのない文学シリーズ 続・いつも来る客

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#1 客「こんにちはー!」 新人店員「らっしゃい」 客「あれ、いつもの店員さんは?」 新人店員「辞めましたよ」 客「ええーっ!僕になんの相談もなくぅ?」 新人店員「ああ、あなたがよく来る客か。入って来た瞬間わかったわ、汗の臭いで」 客「なんだよぉ。久しぶりに来てみたら辞めただなんて。これだから橋本内閣の支持率も下がるわけだ」 新人店員「オーダー入ります!」 客「ちょ、ちょい。まだ頼んでないよ」 新人店員「いつも来る客が来たら、アイスコーヒー頼んでおけって、遺言預かってたんで」 客「え、死んだ?」 新人店員「伝言の間違い」 客「驚いたぁ。キミ大丈夫?可愛いからってなんでも許されると思わない方がいいよ」 新人店員「だいたい許されて来ました」 客「だーかーらー」 新人店員「アイスコーヒー入りまーす」 客「ちょい!勝手に決めないでほしいな。もう10月だよ。おかしいでしょ」 新人店員「『豪華 鯛の兜煮』お願いしまーす!」 客「だから前回も言ったけど、それは絶対に頼まない!3800円も出せるか、カフェで」 新人店員「じゃあ、あれやる?」 客「あれ?」 新人店員「前にもやった目を瞑ってメニューを指差すやつ」 客「あーあれか。でもそれで『豪華 鯛の兜煮』になったからな。え、待って。それってキミが僕の手を握って誘導してくれる感じ?」 新人店員「それはそうなんだけど、新システムになりましてぇ」 客「素手と素手とか」 新人店員「そうっすね」 客「いーじゃんいーじゃん!ヒャッホーイ」 新人店員「やるアル?」 客「やるアル!」 新人店員「店長、出番でーす!」 客「ちょっと待ったぁ!ひょっとしてそれって店長の素手かな」 新人店員「細マッチョですよ」 客「細マッチョは望んでない」 新人店員「手汗のひどいデブも控えてますけど」 客「ノーセンキュー!」
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