82人が本棚に入れています
本棚に追加
/47ページ
ちょうだい
肩を抱き寄せあいながら、二人でまっすぐ家に帰った。
鍵を開けて玄関に入った瞬間、暗がりの中で修一に唇を奪われた。
「んっ……」
荒々しいキスに、スズは思わずまぶたを強くつぶった。閉まったドアに背中を押し付けられ、修一に両手首を掴まれて磔のようにされながら、何度も角度を変えてくるキスにしばらく溺れた。常にクールな修一らしくない、欲情に濡れた口づけだ。
修一の舌が唇をこじ開けて口内に入り込んでくる。スズは応えて、舌を伸ばした。
「んっ……ふ、ぁ……」
そうして口内を舐め回された後、修一はやっと顔を離した。暗がりの中、彼の欲情に濡れた表情だけがスズの猫の目にはよく見える。
「おまえが電話口で、苦しそうに暴力に耐える声を聞いた時……気が狂いそうだった。俺のスズに、なんてことをしてくれたんだと……あんな奴らの手足もペニスも全部切り落としてやりたいくらいだ」
修一が途切れ途切れに呻き、めったに見せない雄の顔で鋭くスズを射竦めた。
「あいつらに汚されたおまえの身体を、全部塗り替えていいか?」
言葉を受けて、スズの下半身がきゅ、と疼く。
「……うん」
人質に取られていた時は、惨めで、悔しかった。だが修一は、そんなスズの汚れた体を浄化して、負の感情を正の感情に昇華してくれる。
玄関で絡み合いながら、修一の手がスズの粗末なジーンズをくつろげて、シャツを胸までたくし上げる。指の先が胸の突起にかすめて、スズの脳内に甘い官能と、冷静な思考が同時にかすめた。
「ぁ……待って、や、やっぱり汚いから──んっ」
無理やり息を唇ごと奪われ、黙らされた。
「誰がなんと言おうと綺麗だって言ってるだろうが」
「ち、違う。その、水を顔にぶっかけかけられたし、さっきまで汚い倉庫にいたし、オレの体が泥まみれだから……」
視線が下向きになり、モジモジしながら尻尾を両手でいじった。
「はじめては、き、綺麗な体でシたい──うわっ」
言い終わらないうちに、修一に体を抱き上げられた。
問答無用で二階に連行され、浴室の脱衣所で降ろされた。修一は自分の服を脱ぎ捨てたかと思うと、スズの服もその手で剥いた。二人は裸で浴室に入る。
いきなり大好きな人の全裸を見せつけられて、スズの顔にボッと火がついてしまった。修一の体は腕や腹が引き締まっている。髪が短くなったせいか、美貌に雄的な魅力が増してクラクラした。股座から見える男根から、目が離せない。
(お、オレのなんかより全然おっきい)
その視線に気づいていないのか、気づいて見て見ぬ振りをしているのか、修一はシャワーヘッドを持ってスズの背後に回った。
「洗ってやる」
「ぁ……うん……」
最初のコメントを投稿しよう!