ちょうだい

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ちょうだい

 肩を抱き寄せあいながら、二人でまっすぐ家に帰った。  鍵を開けて玄関に入った瞬間、暗がりの中で修一に唇を奪われた。 「んっ……」  荒々しいキスに、スズは思わずまぶたを強くつぶった。閉まったドアに背中を押し付けられ、修一に両手首を掴まれて磔のようにされながら、何度も角度を変えてくるキスにしばらく溺れた。常にクールな修一らしくない、欲情に濡れた口づけだ。  修一の舌が唇をこじ開けて口内に入り込んでくる。スズは応えて、舌を伸ばした。 「んっ……ふ、ぁ……」  そうして口内を舐め回された後、修一はやっと顔を離した。暗がりの中、彼の欲情に濡れた表情だけがスズの猫の目にはよく見える。 「おまえが電話口で、苦しそうに暴力に耐える声を聞いた時……気が狂いそうだった。俺のスズに、なんてことをしてくれたんだと……あんな奴らの手足もペニスも全部切り落としてやりたいくらいだ」  修一が途切れ途切れに呻き、めったに見せない雄の顔で鋭くスズを射竦めた。 「あいつらに汚されたおまえの身体を、全部塗り替えていいか?」  言葉を受けて、スズの下半身がきゅ、と疼く。 「……うん」  人質に取られていた時は、惨めで、悔しかった。だが修一は、そんなスズの汚れた体を浄化して、負の感情を正の感情に昇華してくれる。  玄関で絡み合いながら、修一の手がスズの粗末なジーンズをくつろげて、シャツを胸までたくし上げる。指の先が胸の突起にかすめて、スズの脳内に甘い官能と、冷静な思考が同時にかすめた。 「ぁ……待って、や、やっぱり汚いから──んっ」  無理やり息を唇ごと奪われ、黙らされた。 「誰がなんと言おうと綺麗だって言ってるだろうが」 「ち、違う。その、水を顔にぶっかけかけられたし、さっきまで汚い倉庫にいたし、オレの体が泥まみれだから……」  視線が下向きになり、モジモジしながら尻尾を両手でいじった。 「はじめては、き、綺麗な体でシたい──うわっ」  言い終わらないうちに、修一に体を抱き上げられた。  問答無用で二階に連行され、浴室の脱衣所で降ろされた。修一は自分の服を脱ぎ捨てたかと思うと、スズの服もその手で剥いた。二人は裸で浴室に入る。  いきなり大好きな人の全裸を見せつけられて、スズの顔にボッと火がついてしまった。修一の体は腕や腹が引き締まっている。髪が短くなったせいか、美貌に雄的な魅力が増してクラクラした。股座から見える男根から、目が離せない。 (お、オレのなんかより全然おっきい)  その視線に気づいていないのか、気づいて見て見ぬ振りをしているのか、修一はシャワーヘッドを持ってスズの背後に回った。 「洗ってやる」 「ぁ……うん……」
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