一生、一緒に生きていく

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一生、一緒に生きていく

修一に抱かれて乱れたキスをしながらベッドにもつれ込む。修一はドレッサーの引き出しの中から取り出したローションで指を濡らし、慎重にスズの中へ入り込んできた。 「っ……あぁっ……」  初めて誰かの指を許して、きゅっと中が震える。 「つらかったら言いな」 「やだ。絶対。なんでいぢわる言うの……」 「これが意地悪だったら何も言えないだろ」  絶対に、何があってもつらいって言うもんかとスズは決心する。ここまできて中断などしたくない。半グレに殴られた痛みも何もかも、大好きな人の存在を受け入れることに比べたら全部が些細な感覚に思えた。  くちゅくちゅという水の音と、息を吐く自分の声だけがしばらく響いた。最初こそ冷たく違和感のあった指が、温まって快楽に変わっていく。そうやって一時間近く中をほぐされると、感覚に慣れきった肉筒が修一の指を奥へと送り込んで、その先がかすかに硬いしこりをかすめた。 「あッ……!」 「ここか?」 「す、んごい……目の前がビカッて、あと、きゅってなった……」 「スズ、おまえ……初めてにしちゃ感じるのがやけに早いな?」 「じゅ、獣人は人間より感じやすいって、小倉の手下たちが──ひっ」  小倉の手下、という言葉に修一の視線が絶対零度まで下がった。手つきに遠慮がなくなったかと思えば、のけぞったスズの胸にある赤い突起に吸い付く。 「んあっ! しゅ、しゅういちっ、あン、あ」  執拗に飾りを吸い上げたかと思えば、今度は指で押されて、揉まれた。中で気持ちのいいところを追い立てられるだけでも精一杯なのに、スズは初めて感じる快楽に溺れそうになり、涙が出てくる。 「ひっ、にゃんっ、何度も押すの、やぁっ」 「かわいい」 「しゅ、しゅういち、も、もうや、やだ……」  ハッと我に返った修一が、後孔から指を抜いた。 「つらいか? やめるか?」  うぅ、とスズが泣きそうな声を出す。ここまできて遠慮深すぎる修一に、いい加減怒りすら湧いてきた。 「ちがう、も、指は、やだ……」  このままもどかしい思いをするくらいなら、気絶させて欲しかった。修一の肩を掴んで引き寄せて、キスをする。 「修一の、ちょうだい」 「あぁ……おまえってやつは」  修一が溶け出すような声を上げる。手元にあったゴムをかぶせると、スズの膝頭を掴んで足を割り、高ぶりを後ろにあてがった。 「あ、あ……」  大好きな人の一部が、少しずつスズの隘路をかき分けて、身体の中に入り込んでくる。  嬉しさに涙が溢れてきた。息を懸命に吐きながら、だけどやっぱり嗚咽に喉がつまる。 「うっ、うぅ……ふっ」 「痛いか……?」 「うう、ん」  必死に首を振った。十九年もの間、ここまで誰かに愛されて、誰かに抱かれて、溺れそうになる自分を、想像したことがなかった。  修一の生き様や愛しかたは、美しい。  男とか、女とか、人間とか、獣人とか、そういうものを超越して。  スズが男で、猫獣人で、それでも彼を受け入れられる自分の存在が幸せすぎて、体が溶けそうだった。  その感情に呼応するかのように、彼の性器が襞をかき分けていく。
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