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◇2023.10.03◇
大事な気持ちを残しておかねばと戻ってきたら、今ある作品の続きの書き方が分からず、新たな作品を開くしかなくなった、という。
2023.8.11
わたしがこの世に生み出した命が尽きたらしく、何年かぶりの里帰りをしたけれど。
その姿は、唯一わたしに似ているという美貌の跡形もなく小さなツボの中に慎ましくおさまっていて。
抱きしめても体温はなく、もちろん、泣き声のひとつも聞こえやしないのですっかり不完全燃焼。
最後に娘と一緒に暮らしていた前夫は部屋にある物は何でも持って帰れと言うけども、持って帰ってひとりのわたしが、それらにふれて生き続けられる気がしないので遠慮した。
もちろん、欲しかったものたくさんはある。
彼女がさっきまで使っていたメガネ。6年前すでに持っていて今もなおキレイにハンガーされていた花柄のロングスカート。頑張って買ったのであろう高級なメイク品。病気な母娘の必須アイテムであるローテーブルに鎮座していたエタノールスプレー。今月も、来月もすでに決まっていた予定の書かれたカレンダー。
何よりも、小さなツボそのもの。
で、ふと、気がついた。
わたしは誰よりもそんなものが何でもないほど彼女を知っている。前夫が知ったげに「誰よりもお前に会いたかったんや」と言ったが娘は意外とわたしを必要としてなかったこと、を知っている。
そしてわたしもまた、彼女の死を意外と悲しんでいないということを。どこかに残しておかねばならない。
きっと、もう楽になったのだと、
心からそう思いたい。
ほんでまあ、6年経てば、あんだけの盛り上がりで四国から九州へ移住したにも関わらず、別れてひとり暮らししよったりするもんで。
それでも、
四国へ帰らないのは、帰れないのではなく帰らないという気持ちも残しておかねばならんな、と思うわけです。
みなさま、お元気ですか。
わたしは、元気です。
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