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僕の心の中のもやもやに痛みが生まれたあの日からずっと、見つかっているはずの答えを探す日々を送っている。探す、というよりかは待っているのかもしれない、誰かに「絵を描くのを続けてほしい」とか「もう、お前は絵を描くな」とか、そう言われることを。そしたら、僕も迷いながらかもしれないけど言われた道に進むことが出来るかもしれない。
自分から動こうとしないで誰かが答えをくれるはずなどないのに、今日も誰かが答えをくれることを待ち望んでいる。
そんなことを考えていると全ての授業が終わったことを知らせるチャイムが鳴り、教室に僕一人を残しクラスメイトは思い思いの人生を歩み続ける。その光景から目を背けるようにして机に突っ伏していたら無意識のうちに微睡の中に落ちていった。
気が付くと僕は見覚えのある部屋の中にいた。幼い頃に一度だけ連れてきてもらったことがある、ここは父さんのアトリエだった。そして、部屋の真ん中で熱心に筆を走らせる父さんの姿がこれは僕の見ている夢なのだと教えてくれる。
夢なのは分かっている、分かっているけど僕は涙をこらえることが出来なかった、頬には涙が伝い、口からは言葉になりかけの未完成の音が流れてくる。
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