作品タイトル「」

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「彩花、まだ帰ってなかったの?」 「うん、なんだか今日はここにいたら蒼が答えを持ってきてくれる気がしたから。」 「うん、持ってきたよ答え、彩花も初めから分かってたと思うけど、僕は絵を描きたい、いろんな景色を見て、たくさんの絵を描きたい、・・僕の絵を大好きだと言ってくれる人がいるから。」 「その言葉、ずっと待ってたよ。ありがとね。」 「感謝するのは僕の方だよ。ありがとう、彩花」 二人の頬を伝う涙は夕暮れに染まり橙色の水性絵の具のようだった。 「・・・蒼、実はね私、高校に入るまで絵を描こうと思ったことはなかったの。熱中できることもなくて、適当に過ごして高校生活も終わっていくんだろうって、初めからそう思ってた。でも一年前の今日と似たような夕暮れの美術室で絵を描く蒼の姿を見て、蒼の目に映る景色がキャンバスに映し出されていくのを見て心を打たれたんだよ。あの時見た景色が私の人生を変えてくれたんだよ。・・・蒼、私蒼の描く絵と同じぐらい蒼のことが・・」 彩花の言葉を遮り僕は言う 「彩花、彩花のこと、絵にかいても、いいかな?」
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