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ぐっと目をつぶって耐えていたのに、ぐわりと持ち上げられた。
え!?あ、ちょっと!?と言う間も無く、隠れていた茂みから出されてしまった。
マデリン様も第一王子殿下も男爵令嬢もこちらを見ていた。
私も見ていた。
ばっちり目が合っている。
驚愕の表情で私を持ち上げた人に視線を移せば。
「────ナタリア、可愛すぎるよ」
アル様が、うっとりとこちらを見上げていた。
猫のように持ち上げられてぷらーんとしている間抜けな様子にそぐわない”可愛い”に警戒心しかわかない。
とりあえずおろしてください!舞台から丸見えです!!!
「お前たち何をやってるんだ!」
「それはこっちの台詞だ、エドワード。恥を知れ」
私をストンと下してアル様は冷たく言った。
「な……ッ! まぁ、いい。聞いていたなら話は早い。マデリンと婚約しろ」
「なぜ?」
「フランチェスカは今から王太子妃教育を受けるんだぞ?マデリンは王太子妃教育を受けて長いし、臣下として未来の王太子妃を支えるべきだろう」
「「「は?」」」
おっといけない。”その場に丁度良い合いの手を入れる”脇役仕草が出てしまった。公爵令嬢のマデリン様と王族のアル様の影に隠れて、私の不敬発現は不問としてほしい。
ちなみに男爵令嬢の名前はフランチェスカというらしい。メモしておかなければ。
「何を馬鹿なことを……」
「よかったな、マデリン。これからも一緒にいれる」
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