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まずは知る限りの情報を説明した。その時、話の流れで昨日は深く触れていなかった“事件の発端である封筒”に話が出た。
「封筒の中に赤い紙ね……。それって、血じゃないか?」
「血か……。たしかに呪いをかける際に、苦痛を伴うと呪力が強まると噂されているが実際どうかな。試したことはないから眉唾ものだが、呪うために自分を傷つけるなんて真似は余程の狂気がなければできないことなのは理解できる」
「会長。その封筒、見せてもらってもいいかな?」
「えぇ。持ってきましょう。少々お待ちを」
二人の頼みで、発端である“赤い紙”を見せることになった。相変わらずの禍々しい気配が少し封筒から覗いた赤い紙から漂う。
「あぁー……こりゃ血で間違いないな」
「あぁ。少々特殊だが、〈 呪符 〉の類で間違いないだろう。当初はこの紙を介して、相手に呪いをかけていたようだ」
「え?じゃあ、この紙をまた見たら呪いにかかってしまうんですか?」
「いや……大丈夫だな。この紙からは“念”を全く感じない。たぶん、もう中身はここには宿ってないな」
心配する会長に向けて、ヒラヒラと乱暴に呪符を振って見せる。それも比較的乱暴に。
呪いが怖くないのだろうかと、恐る恐るその様子を見ていると治は安心するように告げた。
「会長が写した写真に念は移動しているみたいだ」
「お焚き上げとかしたら、成仏させられるんじゃないですか?」
当然の疑問だろう。その写真に怨念が移動しているのならば、その写真ごとこの世から消せば済む話なのだ。
「分からないぞ?お焚き上げなんてして、この写真から解放してしまったら、枷の外れた怨霊が次はどこに行くか……。もしかしたら、また変異して次は……」
「この町を飲み込むほどの大きな呪いになるかもしれないなぁ……」とおどろおどろしく語る治の言葉に、思わず背筋が凍った。
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