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「二人とも来たよー!」
「そして、当然のようにやっぱり来るのはあなたよね」
「そりゃー!私、ケンちゃんの相棒だから!唯一無二の相棒だからね!」
元気な声と共に現れたのは、望桃の友人にして、恋のライバルでもある瀬田祐奈だった。
この子とも昔からの縁が深く、最近も色々とあったが今はとりあえず、猫の手も借りたい現状だ。頼もしい助っ人に違いはない。
「ユウ。かくかくしかじかで」
「かくかくうまうま。ウマのご飯は人参さんだね。了解しました!この祐奈ちゃんが、バッチリ呪いを解く鍵を見つけてあげるよ!」
「頑張るぞ!おー!」
「「おー!」」
(なんで、それで通じるのか理解できないわ……)
阿吽の呼吸で頷き合う二人に、望桃は苦笑しながら肩を竦めて大量のファイルを見上げる。この中に、なにかしらヒントがあるはずだ。
まずは、前回の会長に関する事件の報告と、祖父が襲われた呪いのその後の顛末の書かれた報告書がどこかにあるはずなのでそれを見つけることから始めなくてはいけない。
「手始めにここからここまでを賢治が、ここからここまでを瀬田さんが、ここからここまでを私が調べてみましょうか」
「うん!事件以外でも気になるものがあったら、教えるね!」
「えぇ。お願い」
二人の協力で、ファイルの確認が進む。
一段落着いた頃には、気がつけば時間は昼頃になっていた。
「大体、こんなところかしら」
「四冊か。結構あったな」
今回の手がかりになりそうなものは全部で四つ。
【 会長の事件の全容 】
【 灰塚元菊の呪いと解呪 】
【 呪詛についての手記 】
【 “カミノマナコ”について 】
ざっと見た感じ、この四つが関連しているようだ。
「それじゃあ、早く調べよう」
「少し待って、賢治。朝から動き通しでお腹も減っているでしょう?」
「今はそんな悠長なこと言ってる場合じゃないだろ?タイムリミットまで、あと二日と少ししかないのに」
「いいえ。二日もあるのよ。むしろゆっくりと落ち着いて、悠長にいきましょう」
焦る賢治を落ち着かせるように、望桃は余裕の笑みを浮かべると二人に少し待つように伝えて部屋を後にした。
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