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「歩美……。なんで、あの写真を持ってるんだ……」
娘に裏切られ、行き場のない怒りを堪えるために拳を握りしめる姿は見ていて痛々しい。
だが、今は会長に同情している場合ではない。
それよりも、せっかくの手がかりを手放す方が問題だ。
「会長。彼女に直接会って確かめます。どこにいるか心当たりはありませんか?」
「……正直、現場くらいしか思いつかない。ほとんど、家にいるような子だったから」
「現場にはもう居ないでしょうね。一番検討がつきやすそうな場所を、追われる人は避ける傾向にありますから」
「しらみ潰しに探し回るしかないのか?どこにいるか分からない相手を?そんなの無謀すぎる。何日かかるか分からないぞ」
「闇雲に探しても見つからないでしょう。自宅に戻ってくる可能性もあります。会長は家で待っていてください」
「あ、あぁ……。君たちは?」
「私たちは町を手当り次第探します」
「大丈夫。こういうの慣れてるんで」
「三人で探せば、あっという間だよね♪」
「そ、そうか……」
どうしたものかと頭を抱える会長に、望桃は戻ってくる可能性を考えて自宅に残るように伝える。
望桃たちは、町を探し回ることにしたようだが、会長はどこか半信半疑だった。
ただ、望桃たちの目には明らかな自信が見えた。
何かそういったチカラを持っているのだろうか。
「信じるほかないか……。わかった。三人に改めてお願いする。娘を……歩美を見つけて連れてきてくれ!」
「「はい!」」
会長の心からの頼みに三人は頷くと、次は呪いについて情報を持っているだろう娘さんを探して町へと繰り出した。
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