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「あ、あ~~……」
「……ケンちゃん?」
「ごめん。冤罪だった。ユウは犯人じゃないや。僕の背後にいる守護霊たちだ」
賢治は何かに耐えるように頭を押さえると、深々とため息を吐いていた。
「あー、守護霊さんたちが持って行っちゃったんだね……」
「うん……」
〈この世ならざるもの〉が視える賢治の眼には、サンドイッチを手に笑う守護霊たちが写っているらしい。
お供え物としてとても魅力的だったと守護霊たちは口々に語り舌鼓を打つ。
「美味しそうに食べるなぁ……」
「ふふ……!本当に美味しかったよ」
「う、うらめしやー!」
『『 ーー~~!!? 』』
ー ドタバタドタバタ……!!
「もう、普通逆じゃない?生者が霊を恨めしく思っちゃダメでしょ……」
美味いものを堪能し、御満悦の守護霊たちを恨めしく思った賢治が霊たちに飛び掛る。
祐奈にはその姿は視認できなかったが、何とも楽しそうな空気は伝わってきた。
「ふふ……。でもまぁ、人探しとか守護とか、ケンちゃんの突然の無茶ぶり(歩美に見せた橋の下の霊は守護霊たちの演技)とか色々と協力してくれてるんだし、これくらい仕返ししてもバチは当たらないよねー」
『『そうだそうだー!』』
「うっ……!た、確かに……」
思い当たることが多い賢治は、祐奈の冷静なツッコミに胸を抑えて動きを止める。
やいのやいのと、守護霊たちも祐奈の言葉に同調するように頷いた。
実に騒がしくも仲睦まじい大林賢治のファミリーの一幕に祐奈の顔は思わず綻ぶ。
それから少しして菊池さんが追加の軽食を用意してくれた。賢治も今回はちゃんといただき、本当の意味でご相伴にあずかることができたのだった。
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