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「ママの髪の毛に白いの発見した!」
コタはお風呂から上がるなりそう言った。
僕はコタの体をバスタオルで拭きながら、コタに向かってシィーっと口元に人差し指を当てたが、コタの声はしっかりママに届いていた。
「嘘ぉ?コタ本当?白髪!?やだー!ついに…ついに来たかぁ…」
浴室に、ママの悲しみの声が反響した。
つい最近の同窓会で、ママは白髪がないことを久々に会った同級生たちに褒められたと言って、ご機嫌で帰ってきていた。
ママ…ドンマイ。
「あとね、クモも発見した!」
コタは、準備して並べてあったパンツとパジャマを順番に身につけながら言った。
その声もママに届いて「ぎぇー!!」と、頭を泡々にしたすっぽんぽんのママが、あわあわしながら「取って取って!」と、浴室から出てきた。
僕はティシュを二枚箱から取り出して、ソイツを探した。
「…いないけど?」
僕はコタの顔と、あわ泡のママの顔を交互に見た。
コタは、湯船から立ち昇るモワモワっとした湯気を指さして「コレ」と言った。
「なぁんだ…」
ママはふふふっと笑って安心したように「寒い寒い」と言いながら浴室に戻っていった。
「アレはね、雲じゃなくて湯気だね…」
僕がコタにそう教えてあげていると、再びママの叫び声が浴室に響いた。
「ぎゃー!カメムシ、カメムシ!ユター!!」
僕はハァとため息をついて、まだ手に持っていたティッシュに、更にもう二枚追加して浴室の戸を開けた。
僕の背後でコタが「ママがカメムシを発見したねぇ」とケタケタ笑った。
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