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 十一歳、小学五年生の息子の裕太(ゆうた)は、親のひいき目なしに頼もしく成長していると思う。病気で先だった夫の代わりに、まだ幼い弟の恒太(こうた)の面倒をよく見てくれる出来た長男だ。  そんな裕太だが片付けは苦手で、何度言っても靴はそろえないし、靴下や上着は脱ぎっぱなしで、アチコチに放置したままなんてことはしょっちゅうだ。時折、どうしてこんなところから?というような場所から、裕太の物が発見されることもしばしば。  とある土曜の昼過ぎ。  裕太は焼きうどんを食べた後、区民体育館に行くと言って出かけて行ってしまった。なので、恒太が「つまんない」といじけている。    「コタ、ママと買い物に行こうか。プリン買ってこよ?」  恒太の気持ちを紛らわせるために私はそう提案した。  「行く」  口を尖らせながらも、恒太は自らお出かけの支度を始めた。  車で五分ちょっとの大型スーパーに行くことにして、後部座席のチャイルドシートに恒太を乗せて車を走らせた。  恒太はカーステレオから流れる大好きなアニソンを熱唱してご機嫌だ。恒太は単純で、扱いやすい。私にとって男児の育児は二回目なので、私の方が慣れてきたというのもあるのかもしれない。だが、裕太のことにしても、恒太のことにしても、一筋縄ではいかないのが育児だ。何が正解かわからず、いつも手探りだ。  
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