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「うわーーー! めっっちゃくちゃ、かわいい~~~~!」
猫になってしまったことに驚きすぎて、意識を手放したのも束の間。
次に目を開いたら、眠気も吹っ飛ぶようなイケメンがドアップで視界に入ってきて、飛びあがりそうになった。
「こんな道端で倒れていたら危ないよ。飼い主さんとはぐれて、迷子になっちゃったのかな?」
「にゃあにゃあ」
飼い主はいないわ。そもそも猫じゃないもの。
人間だった時の名残なのか、相手の言葉は理解できるものの、猫なので言葉を喋ることまではできない。かわいい系のイケメンはとろけるような笑顔で私を抱きあげながら、嬉しそうに私の顔へ頬ずりしてきた。
「かわいい、かわいすぎる! ボク、キミのこと気に入っちゃった」
「にゃにゃっ」
ち、近すぎる~~~! いくらイケメンだからって、初対面の女子にいきなり頬ずりするのはダメだってばー!!
「飼い主を探すにしても、宛てもないしどうしようかな……あ、そうだ!」
彼は黒いビジネス鞄からノートらしきものを取り出すと、『ここで倒れていた白猫を拾いました。心当たりのある方は、僕までご連絡ください』と記してちぎり、猫地蔵様の隣に重石を置いて挟んだ。
「これでよし。いったんボクの家に一緒に帰ろう?」
「にゃ!?」
な、なんでそうなるのー!?
愕然とする私を抱っこしながら、彼は決定事項だとばかりに移動しはじめる。
「にゃーにゃー!」
「ん~? 倒れていたってことは、空腹だったのかなぁ。おいしいご飯を買って帰ろうね」
この小さな身体で、成人男性に抱きこまれたら、敵うわけがない。
私は諦めて、彼の家へ招かれることとなった。
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