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「こ、、声、、朧の声!!」
千影は手で口元を押さえて震えている。
「そう!そうよ!おぼろよ!」
知らず知らず涙が・・
千影は朧に向かって走り出していた。
「ちーーーくぅぁーーーげっ!!」
「そう!そうよ!
あははは! すごい!すごい!おぼろ!!」
二人は満面の笑みでお互いに向かって走り寄った。
もうほんのあと少し、、というところで
朧はピタリと足を止めると
美しい顔でじっと千影を見つめ
「っっげっっ!!」
と、力一杯叫んだ。
すると、真っ直ぐ千影に向かって飛び込むと
ギュッと、、抱きしめた。
肩に深く沈み込む朧の顎が静かに動く
「・・ち・か・・げ」
なんて、美しい声・・
「いか・・な・いで。」
千影の心臓が音を立てて軋む。
朧は千影から体を離すと真っ直ぐ見つめた。
千影も真っ直ぐに見つめ返す。
「ち・かげ・・・かわい・・い」
みるみる赤くなっていく朧と
それに応えるように頬を染める千影を
今宵の月は優しく灯すのであった。
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