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「お姉ちゃん・・」
怯えて許しを乞う弟の脳天を見下ろして
千影が仁王立ちしている。
「だって・・」
言葉に詰まる弟を見るに見かねて
庭に集まっている弟の友達が一斉に援護する。
「○△□✖️%$!!」
みんな興奮して何がなんだか・・
「わかった、わかった!」
千影両手を広げて手のひらを数回振りおろして制した。
それを合図に子供達は口をつぐむと
不安そうな顔で千影の次の言葉をまった。
千影は肩の力を抜くと
大きくため息をついて
「私が探してくるよ。」
と、言った。
月夜と言ってもまだ7時過ぎだ。
今から行けば明日の授業には持っていけるだろう。
千影は例の道に来ていた。
一本道なのでこのまま真っ直ぐいけば
何かわかるかもしれない。
子供達が放り出した教材を取り返しに
千影は勇気を出して真っ直ぐ歩いて行った。
進むうちに辺りは鬱蒼としてきて
月夜といえど仄暗く
やっぱり引き返そうか・・という思いに支配され始めた頃
小屋のような家のような建物が目に入った。
そこだけ、まあるくくり抜いたように
手入れが行き届いていて人が住んでいる事が一目でわかった。
千影は気付かれないように
そっと近づき庭先から見える家の中の人影に目を凝らした。
「あ!教材!!」
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