第7章 セフレと恋人の差は?

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大地はそう言って立ち上がると、 「先輩刑事たちと仕事で一緒になってさ。奢ってもらう約束なんだよね。だからあっちに行くね。デート邪魔して、ごめん」 と言って小さく右手を上げると、俺とゆりえさんは大地を見上げた。 「大地。あの頃、別に俺は迷惑なんかかかってなかったぞ」 と俺が言うと、大地は俺を見て目を細めて微笑んだ。 「…俺のせいで、前に進めなかったろ?本当は好きだったのに。気づいてないと思ってた?侮るなよ。俺、自分のことはわかんないけど、人のことはよく見てんだ。弟ってのは、結構人の顔色、読めるもんなんだぜ?」 「えっ」 ゆりえさんはチラッと俺を見る。俺はなんだか切なくなって、言葉を返せなくなった。が、大地はくすくす笑っていて、 「まあ、昔の話だ。迅はたまに昔のこと引き摺るトコあるよなぁ?大事なのは『今』。それと、『これから』だ。それは、聖香に教わったこと。いい言葉だと思わね?また、うちに遊びに来いよ」 と言って手を振りながら、仲間が待つ席へと足早に向かっていった。俺とゆりえさんはそんな大地の背中を見つめていると、 「坂井大地さん…って言ったっけ。凄くいい人。優しい人ね。迅さんのこと、よく見てる。きっと他の人のこともよく見てる」 とゆりえさんが言うと、俺はコクリと頷いて泣きたくなった。 「うん。奥さんも言ってた。世界で一番優しい人だって。いい人とか優しい人は沢山いるけど、大地はレベチだって。他の人にはない、優しさがあって、そういうところに惹かれたらしいよ」
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