第8章 あの男を目指してるわけでは無い…はず?

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恋人に昇格してからのエッチは、格別気持ちがいい。(※どこかの変態オヤジのセリフではありません) こんな気持ち、初めてだ。 それから、ゆりえは週末になると土日は泊まってくれるようになった。うちにはゆりえの着替えやパジャマ、歯ブラシ、シャンプーなども置くようになった。正社員、契約社員などの就活中で、決まるまでは妹のマンションで暮らすが、仕事が決まったら俺のマンションに引っ越してくると約束してくれた。とは言っても、やはりコミュ障なゆりえの面接がスムーズに行くはずもなく、何社か受けてはみるものの、玉砕して落ち込んで帰路につくらしい。 頑張れ、ゆりえ。 面接なんて、そんなものだ。大抵うまくいかない。みんなが通る道だよ。ゆりえだけが特別でもなんでもないんだ。 不採用通知が来るたび落ち込んで、ベッドに上がりシーツの中に潜り込んで蹲っている。 俺はベッドに歩み寄り、シーツの中に潜りながら落ち込んでいるゆりえに近寄ると、ゆりえの後頭部を引き寄せて唇を重ねた。ゆりえは目を閉じてキスを受け入れると、俺の肩に腕を回してギュッとしがみついてくる。唇が静かに離れると、ゆりえは俺を見つめて微笑んだ。 「落ち込んだ時、毎回エッチすれば私が機嫌直る、とでも?」 「ううん。落ち込んでるとこが可愛いから」 「は?…こっちはそれどころじゃ」 「大丈夫。明日には元気になる」 俺はそう言って何度もゆりえの唇を塞いでブラウスのボタンを外していくと、ゆりえはため息をついて微笑み、キスに応えて舌を絡めてくる。
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