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「お前、馬鹿?何言ってんだよ。俺たち、付き合いたて!」
俺は笑いながら祥生を見て言うと、祥生は目を細めてウンウンと頷いている。
「いいんだよ。いいんだよ。ようやくここで、迅も大人になったか」
「祥生…。お前、俺のことなんだと思ってんの?前から大人だろ」
「昔は優等生だったよな」
津門も身を乗り出して言うと、ゆりえと聖香ちゃんは「そうなの?」と言って同時に俺を見つめた。ふと、ゆりえは「そうだ」と言って聖香ちゃんを見つめると、
「もしかして、あなたですか?フライパンを料理以外に使うと怒っちゃう人って」
と訊ねると、聖香ちゃんは首を傾げて「何のこと?」と言いながら口を尖らせている。そこに後ろから、
「お待たせしました。シャインマスカットのパンナコッタの方〜」
と雪子おばさんがやって来た。土曜日は基本的にスタッフと副店長に任せて、雪子おばさんは休むことも多いけど、今日は珍しく出勤している。大地の母親で、俺たちが子供だった頃からも何気に有名な人だ。肩書は、料理研究家だとか。まぁ、色々とお騒がせの中心にいる人だ。肩に触れるほどの髪を後ろでバレッタ留め。もう50代だしオバサンっちゃオバサンなんだけど、全然オバサンなんて言えないくらい若々しい。
ゆりえと聖香ちゃんの前にシャインマスカットのパンナコッタの器が静かに置かれて、
「迅くんたちは米粉のミルクレープね。待ってて」
と言って穏やかに微笑んだ。
「あれ、あの人…どっかで見たこと…ある、ような。…どこかしら」
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