第8章 あの男を目指してるわけでは無い…はず?

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ゆりえは雪子おばさんを見て首を傾げている。すぐにまた雪子さんはデザートを運んできて、 「米粉のミルクレープです」 と言って男たちの前に器を置いて行った。聖香ちゃんが雪子おばさんを見上げて、 「あ。それ、多分お義母さんだわ」 と言いながらゆりえを見ると、ゆりえは「えっ」と驚いて雪子おばさんを見上げた。雪子おばさんはゆりえを見てニッコリ微笑むと、 「あなたは…初めまして、ですよね?坂井雪子といいます。息子がね、こちらの聖香ちゃんと結婚して…」 と自己紹介を始めるが、ゆりえはスプーンを握りしめて瞳を輝かせた。 「フライパンは料理以外に使うものじゃないって思いますか?!」 ゆりえって、意外に些細なこと、覚えてるんだよなぁ。俺はフォークを持ってクスクス笑ってしまった。 「え?フライパン?フライパンは料理するための道具でしょ?他に何に使うの??」 「お義母さん、お義父さんと喧嘩する時たまに使ってるけど」 聖香ちゃんはボソッと呟いてパンナコッタをスプーンで掬い、一口食べた。雪子おばさんは頬を赤く染めて、 「や、やだわ。こんなところで暴露しないで〜。あれはね?素振りよ!素、振、り!」 「…筋トレ?!」 ゆりえもまた目を丸く見開いて言うと、そこに外から小走りで大地がやって来た。 「遅れてごめん!!」 「大地っ!救世主〜!!」 雪子おばさんは大地の腕にしがみつくと、大地は「え?え?」と言って少し困惑顔。 「な、なんだよ?なんかあったのか?聖香」 「ううん。ちょっと暴露を」 「暴露?!」
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