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「え?同棲すんの?お前が?」
祥生もそう言って、ニヤニヤと怪しい笑顔を向けてくる。俺はちょっと照れて横を向くと、
「ま、まぁな」
と言ってカフェラテのカップを取って口元に近づけていく。雪子おばさんは俺たちを見回して、
「そっか。ちゃんと、色々考えてるってことね。えらい偉い。…じゃ、ゆりえさん。うちで働いてみる?」
とゆりえの肩に手をかけて言うと、俺とゆりえは驚いて雪子おばさんを見上げた。
「えっ。いや、でも、接客は私、難しいかも」
「カフェじゃなくて、2階のクッキングスタジオの事務を探してるとこなの」
「えっ」
雪子おばさんは人差し指を立てて上下に揺らしている。
「前まで勤めてた人が定年退職してね。後任を探してるとこだったの。募集かけると、無駄にたくさん来るから絞れないし、娘がやってもいいよ、なんて言ってたんだけど。ね。どう?パソコンのスキルも高くなくていい。入力出来れば。クッキングスタジオの受付管理、食材の請求書の発行など。ちゃんとフォローするから。もし、あなたさえよかったら。なんなら、改めて面接してみる?今後の練習も兼ねて」
雪子おばさんの提案に、大地の方が身を乗り出した。
「いいじゃん、それ」
「そうね。いいと思うわ。ここなら、私だって働きたいと思うもの。私も接客とか無理なのよね」
大地と聖香がそう言ってお互いに「ねぇ?」と微笑みあっている。ゆりえは目を丸く開いて雪子おばさんや、俺たちの顔を見回して、
「い、いいのかな」
と呟くと、俺は頷いた。
「いい話しじゃん!」
「やってみなよ!」
津門と祥生までそう言って身を乗り出してくる。
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