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髭面の還暦過ぎたオッサンが、自分の顎鬚をなぞってニヤニヤ笑っている。
「みんな、相手にすんなよ。そいつの変態って、コロナみたいに感染するからな」
大地が彼を睨みながら言うと、ゆりえも驚いて振り向いた。
「変態?!警察を…!」
「いや。その人、元警察官」
津門もニヤニヤ笑って言うと、ゆりえはまた目を見開いた。
「…え?もしかして、皆さん、お知り合いですか?」
「なに?この子、迅ボウの女か!…あれ?どっかで会ったことある?」
「え?」
ゆりえはその男を見ると、男は眉を顰めて首を傾げている。
まさか…!そうだ。たまに風俗とかにも顔が利くようなこと、聞いたことある…っけ?
「俺、こいつの親父。元警部なんだ。よろしくな?で、どこの店の子?」
坂井理がニヤニヤ笑いながら言うと、ゆりえは理おじさんの顔を改めて覗き込み、
「…あっ?!」
と声をあげて慌てて両手で口元を押さえた。どうやらゆりえも顔を知ってる。ということは、まさか。まさか、…接客してないよね?!俺、この人と兄弟どんぶりはやだよ!!俺は顔面蒼白して言葉を失ってしまった。雪子おばさんがA4サイズの茶封筒を持ってきて、理おじさんとゆりえさんを交互に見ると、
「え?理、知り合いだったの?どういう?浮気?ナンパ?なんてね」
と言ってふふっと笑っている。いや、雪子おばさんには、ゆりえの風俗の話はしない方がいい。と思っていると、ゆりえは微笑んで雪子おばさんを見て、
「私がデリヘルしてた店のオーナーとこの方がお知り合いでした。オーナーから話を聞いたことあります!」
と明るく言うと、雪子おばさんの笑顔がフリーズしてしまった。
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