第9章 私の方が幸せ

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彼氏の連絡先や、メッセージのやり取り。スマホを覗き見することに慣れてそうな口ぶりだった。だから、取られたのかもしれない。確かに、先回りして彼との待ち合わせ場所にいたりもした。偶然だと思ってたけど…、最初から奪うつもりだったのかも。なんで、…なんで紫乃はそんなに私のこと、目の敵にするの?姉妹なのに。姉妹だから?比べられてきたから?私だって、紫乃に対してコンプレックスはある。でも、スマホを見たり干渉もしたりしないのに。 私と紫乃は、違うんだから…。 * ゆりえはカフェSnow WAVEの2階にある応接室で、坂井雪子とテーブルを挟んで向かい合わせに座って面接を受けていた。が、雪子の質問に淡々と答えて覇気がないゆりえの様子に、雪子は首を傾げて、 「どうしたの?具合悪いですか?少し休みましょうか」 と微笑んで言うと、ゆりえはハッと我に返り顔をあげて雪子を見つめた。 「すみません。…あの。…私…」 「働くこと、悩んでる?別に無理しなくていいし、何か問題があるなら…」 「いいえ!そんなことないです!!そうじゃないんですけどっ…」 ゆりえは大きく頭を左右に振って言いかけると、雪子は微笑んでゆっくり立ち上がり、 「ちょっと待ってね」 と言って壁に備え付けてある電話機の受話器を取り左の耳に当てた。 「あ。莉沙ちゃん?カフェラテ二つと何かデザート、持ってきてくれる?」 そう言って受話器を戻して席に戻ると、雪子はゆりえを見つめて穏やかに微笑んだ。 「会社と仕事内容、福利厚生など事務的なお話はもう終わり。ここからは雑談しましょうか」 「…坂井さん…」
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