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えーーー。……なんなの? 可愛すぎるんですが。これどこの子ですか? あ、うちの恋人でしたか。
いわく、最近ちょっと腹に肉が付いてきたなぁと自覚していたらしい。さり気なく食事制限をしていたというが、ほとんど俺と一緒だし、俺と一緒だとご飯が美味しくて食べちゃうし。バレてないならいいかと呑気に構えていたのだそう。
そこに今日のご馳走がドーンと拍車をかけ、途端にぽにょ腹になってしまって焦ったというのである。
にやにやする口元を隠しきれないまま、手を腹にやる。ふにょ……と柔らかい感触がして、「おお……」と思わず呟いた。悪気はない。
しかし恥ずかしさの限界を迎えた慎一はバシャっと急に立ち上がり、風呂を上がろうとしてしまった。俺も水音を立てて立ち上がる。
「待てって、慎一! 大丈夫だから」
「だって……こんな身体、嫌でしょ?」
「むしろ好きだ」
「す、……え?」
背中から抱き寄せて、俺は力説した。尻や太腿と同じで、柔らかい肉が乗った部分というのはなんとも魅惑的だ。全然嫌じゃない。
痩せてく方が心配だし、そもそも慎一は体質的にそんな太らないじゃないか。どんな姿だって、恋人の変化を一番近くで見られるのは嬉しい。一緒に美味しくご飯を食べてくれるのも嬉しいけど、ダイエットしたいなら、付き合う。
「だから……俺に背を、向けないで」
「ッ……」
思ったよりも切ない声が出てしまった。好き放題言ってしまった自覚はあるが、言い切った次の瞬間、慎一は振り向いて俺に抱きついてくれた。
もう言葉は必要ない。大きく水飛沫を飛ばしながら風呂の中に戻り、激しく求め合う。
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