キガキクミミ

風呂上がり、男はタオルで髪を拭きながら、無造作に置かれた綿棒の方に視線を向ける。

まさか毒とか乗ってあったりしないよな？

男はケースを開けて綿棒を1本取り出し、じっくりと観察してみた。

毒の心配はなかったが、自分の一番近くにいる人たちが発する言葉が2秒前に聞こえてくるようになった。

効果は1本8時間。

綿棒のおかげで男は人並みに仕事ができるようになり、上司に叱られることもなくなった。

だが男はそれだけでは満足できなくなっていた

何か他にいい使い方はないかな。

自室で男は考えながら、何気なく付けていたテレビ番組にふと目をやる。

そうだ。素人参加型のクイズ番組に出演してみよう。

今の自分なら絶対に優勝できるはずだ。