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やがて嗅ぎまわっていた鼻が止まったのは、優鶴の左肘だった。その場所で、先ほどオメガのみぞおちを突いたことを思い出す。
煌は優鶴の左肘を舐め、カリッと噛んだ。甘噛みだったので痛みはない。噛んでは舐め、舐めては噛んでを繰り返されるうちに、優鶴も妙な気分になってくる。
「ちょ、煌……っ」
精液に濡れた性器をズボン越しに下半身にこすりつけられ、優鶴はカッと頬が熱くなった。いつの間にか自分の性器もズボンの内側で勃起していたことに気づいた。
優鶴の身体にわずかに残るオメガの残り香を頼りに興奮しているのか、煌の手つきがいやらしくなっていく。そうこうしているうちにタンクトップと肌のあいだに侵入した手が、指の腹や爪を使って乳首をこねはじめた。
「ちょ……っ。まずいってば……!」
乳首に与えられた刺激はすぐに下半身に降り、優鶴から抵抗を徐々に奪っていく。カチャカチャとベルトのバックルを外されたのは、胸への愛撫もそこそこに『もっとほしい』と思いかけたときだ。
平均的な性欲だと自覚している優鶴も、今夜はどこかがおかしいと感じていた。オメガの濃いフェロモンを嗅いでしまったことが原因だろうか。同性で、しかも血が繋がっていないとはいえ弟相手にこんな気持ちになるなんて。
雨と泥でぐしょぐしょになったズボンと下着を強引に脱がされ、優鶴は四つん這いにさせられた。膝が痛くて、思わず上半身が三和土に落ちる。尻を突き出すような体勢から肘を伸ばして上半身を起こそうとしたが、叶わなかった。
双丘の合間から入ってきた煌の熱い先端が、窄みに押し当てられたからだ。
「ダメだ煌……っ、それだけは……っ」
本気で嫌だと相手を拒むと、煌の手が止まり、目もわずかに揺らいだ。細い糸でつながった理性を取り戻したように見えた。
だが、それも一瞬のこと。煌は再び手を動かした。窄みに挿入することはやめたようだ。双丘の窪みにこすりつけるように割って侵入してきた。グッと押しこめられ、煌の重たい二つの玉が後ろからバチンと尻に当たる。
何をされているのか理解できなくて、声も出なかった。痛くはないのに、生理的な涙が目の端に浮かんだ。
それから煌はバックの体勢でガンガンと優鶴の尻を突いた。弟に疑似的に犯されている。その事実に優鶴の前はすっかり委縮し、先ほどわずかに感じていた欲望もどこかへと消えていく。
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