Peter Pan & Snow White

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私がそう訊ねると、フィリップは嬉しそうに笑った。 僕の両親や祖父母は全員魔法が使える。ファンタジー小説に登場する魔法使いや魔女と呼ばれる存在だ。例に漏れず、僕も幼い頃から魔法が使えた。もちろん、魔法が使えることは人に隠さなきゃいけない。 あれは六歳の頃、僕は父から飛行魔法を教えてもらったことが嬉しくて、こっそり夜に家を抜け出して街を飛ぶのが楽しみの一つになっていた。 ある日の夜、僕は病院の前を飛んでいた。その時、ある部屋のカーテンが閉まっていないことに気付いたんだ。 (どんな人が入院してるんだろう) そんな境地から近付いてみる。すると、そこにいたのは僕と同じ歳くらいの女の子だった。黒いショートボブの髪に、雪のように白い肌、赤い唇、一目見た時に頭に浮かんだのは白雪姫だった。 (綺麗な女の子だな) そう思いながら見ていると、女の子が目を覚ました。空を飛んでいる僕を見た女の子は、とても驚いた顔をする。でも窓を開けて、女の子は目を輝かせながら言ったんだ。 「すごい!あなた、ピーターパンみたいに飛べるのね!」
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