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女の子は魔女じゃないことはすぐにわかった。でも、女の子が僕に話しかけてくれた瞬間、世界が星みたいに煌めいて見えたんだ。
「僕はフィリップ。フィリップ・モーガン。よろしくね!」
「私はヘザー。ヘザー・シンプソン。よろしく!」
自己紹介をした後は、窓越しに色んな話をした。時間が経つのがすごく早くて、夜になるのがいつも待ち遠しかった。ーーーいつしか、ヘザーに対する気持ちは恋なのだと気付いた。
でも、甘酸っぱい時間は長くは続かなかった。毎晩飛行魔法を使ってヘザーと会っているのが両親にバレてしまった。両親や祖父母に叱られた後、ヘザーから僕と話した記憶を母が消した。そして僕は、ヘザーに会うことを禁止された。
でも、ずっとヘザーのことが忘れられなかった。色んな魔女や女性に出会っても、頭の片隅にはヘザーがいた。まだ僕は彼女に恋をしているのだと気付いた。
だから、探した。ヘザーと話したことを頼りに、時には魔法を使ってヘザーを探した。そしてやっと見つけた。やっと話すことができた。
大人になった君は髪は長くなっていて、毒リンゴのせいで眠ったりはしていない。僕は王子なんて大それた地位の人間じゃないし、キスで君を目覚めさせたわけじゃない。それでもーーー。
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