足裏の妖精

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 さて、翌日もその翌日も、足裏とんとんは連続して起こり、寛ちゃんが横向けに態勢を変えるとそれは収まる。  そうして寛ちゃんはまた、お母ちゃんにくっついて寝る。  三日も続くと、いよいよ気味が悪くなって、四日目の朝に学校に行く道中、お姉ちゃんと愛ちゃんに相談してみる事にした。 「小人ちゃうん? 」 銀座通りの歩道を三人で縦に並んだ先頭を歩きながら、深刻な寛ちゃんを他所に、お姉ちゃんはいい加減に答える。  小人と言えば寛ちゃんも思い当たる節がある。  例えば幼稚園の時にお母ちゃんから読んでもらっていた絵本では、靴屋のおじいさんの所に夜な夜な小人が現れて、靴作りのお手伝いをしていた。 ──でも、小人に恩返しされるような事してないしなぁ──  次に思い当たったのは、最近、学校の図書室で読んだ本に出てきたコロポックル。  この小人は子供ととても仲良しだ。 ──でも、コロポックルは家の中にはおらんもんなぁ──  あれこれ考えてみても納得いく答えは見つけられないでいると、 「それ、座敷童かもしれんよ」  寛ちゃんを挟む様に後ろを歩いていた愛ちゃんが口を開いた。  なるほど、昔話で聞いたことがある。  座敷童なら、そんな悪戯をするのかもしれないと寛ちゃんは一人合点(がてん)した。  そんな事を家で一人で思いついていたら、怖くて居てもたってもいられなかっただろうけど、今はお姉ちゃんと愛ちゃんが一緒だから怖くない。  寛ちゃんは、やっぱりお姉ちゃんは頼りになるなぁと、鼻の下を人差し指で擦った。
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