足裏の妖精

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 ─ところが─  寛ちゃんがお父ちゃんや、みんなの為に毎日足裏とんとんを我慢しようと腹を括ったその日の夜から、途端に足の裏を踏まれる事はなくなった。  朝、相談していたから、お姉ちゃんも心配して、何度も隣りから寛ちゃんの足元を確認してくれたのだが、勿論、寛ちゃんの足元には誰もいない。  今日一日誰も足を踏まなかったからと言って、怖くないと言う訳でもないので、その日も寛ちゃんはお母ちゃんにくっついて寝ることになった。  翌日も、その翌日も、とうとう誰も寛ちゃんの足の裏を ─トントン─ しには訪れず、四日目には寛ちゃんはとうとう何だか不安な気持ちになってきた。 ──もしかして座敷童は僕が毎回横向けに寝るのに怒って、どっかに行ってしまったんと違うやろか?  もしそうならば、これは一大事だ。  お父ちゃんはこの前なったばかりの課長さんから、たったの数日で平社員に戻ってしまうだろうし、昔話の通りならば、それで済んだらまだ良い方だ。  今日も又、寛ちゃんは授業中も座敷童の事で頭がいっぱいだから、給食の時に先生の事を 「お母ちゃん!」 と全力で呼んでしまい、大恥を掻いたのだ。
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