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(新体操部って可愛いこめっちゃいそう……)
そんな不安に駆られながらもファミレスに到着し、そのまま四人で奥の座席へと案内をされる。四人席のテーブルをくっつけて団体用にカスタマイズされたテーブル席にくると、男子と女子の団体がこちらに視線を向けてきた。
「おー久土和おかえり! お前ここな」
「これで全員だよね? 座って座って!」
知らない柔道部の男と、斉藤がそう言って四人を席に案内してくれる。
なんでも女子はレディーファーストで奥側の席に座らせているらしく、元音は奥の席に座るよう言われると、そこである重大な事に気付いてしまっていた。
(久土和くんとの席が遠すぎる……っ!!!)
久土和は元音のはるか遠くに着席しており、どんなに頑張っても彼と邪魔の入らない会話は不可能だ。久土和と話せないのでは全く意味のない食事だと言うのにこんなのはあんまりである。
しかし気持ちが大きく沈んでいく感覚を覚えながらも帰るという選択肢は浮かばなかった。久土和からのせっかくの誘いなのにいきなり帰るだなんて印象の悪い事はしたくない。
それに印象云々というよりも彼が良心から誘ってくれたのだから、その厚意に応えたかったのだ。久土和に不快な思いは絶対にさせたくなかった。
(まあいいか、久土和くんの顔は見れるし)
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