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そう前向きに考える事にし、元音は目の前に差し出されたメニューで料理を選び始めた。
そして久土和と一緒に美味しい料理を食べる空想が元音の頭の中で動き出す。
二人で並んで座り、様々な料理を食べながら楽しく会話をする様子を妄想しながらメニューを眺めていると「平ちゃんは決まったか?」と遠くから久土和の声が耳に響いた。瞬間、元音は彼の方角へ視線を向けて幸せを噛み締める。そして同時に自分の視界がキラキラと眩しくなるのを実感していた。
(久土和くんが呼んでくれた……っ!! 気にかけてくれたっ!!! 好き〜〜〜っっ!!!)
「わたしはカルボナーラにしようかな、久土和くんは?」
「おっカルボいいな! 俺もそうするかな!」
(えっええ〜〜〜〜〜〜〜っ!!?!?)
もう何が何だか分からなかった。まさか自分の注文をそのまま頼んでくれるとは夢にも思わず、元音は顔を真っ赤に染めて彼を見返す。
すると久土和は元音に笑顔を向けながら歯茎を見せ、楽しそうにこう言うのだ。
「じゃあ俺と平ちゃんはカルボで決定な! あと頼んでない奴らはどうする?」
(俺と平ちゃん、俺と平ちゃん、俺と平ちゃん…………きゃあああああ〜〜〜!!!!!!!)
心の中は嬉しい暴走を始め、元音は自身の頭を萌え狂ったようにブンブン横に振りたくて仕方がなかった。
流石に公共の場であるため理性で抑えたが、それでも彼へのときめきが心中だけで収められそうにない程には、久土和への愛を一層重ねていた。ああ、なんて幸せなひと時なのだろう。
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