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(王子様とお揃い注文なんて夢みたい)
久土和と席が離れていても元音はもう満足感で胸がいっぱいになっていた。
そんな思いでいると、自身の近くにいる数人の男女に話を振られ、会話を交わす。
その会話自体に楽しさはなかったものの、同じ空間にいる久土和の声が時折聞こえ、それが元音の幸福感を掻き立てていた。彼の言葉が聞こえるだけでもこの会合に参加した価値は大いにある。
そう心から感じながらファミレスに滞在していると、突如元音の耳に幸せの声が入ってきた。
「平ちゃん、来てくれてありがとな」
「!!!」
なんと久土和が目の前にいるではないか。彼は眩しいほどの笑みを放出しながら元音に話し掛けている。彼の席は離れていたはずであるが、ここまで移動してきてくれたのかと嬉しい思いが一気に心中から沸き起こっていた。
「久土和くん、こちらこそ誘ってくれてありがとう!! すっごく嬉しかった!」
元音はそう言って彼に本心を向ける。そうすると、久土和は尚も笑いながら「そりゃあ良かった!」と返してくれ、その笑顔に元音の胸は再び射抜かれた。
「お待たせしました。カルボナーラになります」
するとウエイトレスがやってきて二皿のカルボナーラを運んでくる。
久土和が即座に「こっちっす!」と手を挙げ、ウエイトレスが困らないように積極的な行動を取っている姿を目にして元音の口元は広がりまくっていた。行動力が神すぎる。
(王子様……本当に優しくて気が利くう…すきっっっ)
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