13人が本棚に入れています
本棚に追加
/234ページ
「ふうん、マネージャーにならないのに見学行ったんだ。じゃあ二階堂先輩か浦壁狙い?」
(それはないな〜)
彼女の反応にそんな感想を浮かべながら元音は首を振って否定をする。そうして久土和の方にチラリと視線を向け、すぐに伊馬に目を向け直すと「その二人じゃないけど内緒」と笑って答えた。
ここで彼を好きだと言うのもありなのだが、変に目立つのは本意ではない。
「えっ勿体ぶるんだ〜気になるぅ」
「えへへ、でも好きな人はいるよ」
そう言って笑いながらパスタを頬張る。
そうしてもう一度久土和の方へチラリと目を動かすと、彼は太陽のような笑顔を見せながらこちらに向けて親指を立ててみせていた。これは、元音の『内緒』に乗っかってくれたという事だろうか。
そう感じられた元音は一気に気持ちが上昇し、再びパスタが喉を通らなくなる。
普段食事にかかる時間は十分とかからない元音であったが、今回だけは何度も食事が喉を通らず、喉に詰まらせまいと注意して食べていた事で三十分程の時間を要してしまうのであった。
第十六話『ファミレス』終
next→第十七話
最初のコメントを投稿しよう!