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ドクン、と大きく胸が弾んだ。それは決して悲観的なものではなく、彼がどうして元音を今回誘ってくれたのか、その理由が今ここではっきりと明確になり、その久土和らしさに感激したからであった。
(なんて気遣いの完璧な王子様なの………っ!!?!?)
久土和が自分をよく思ってくれているのは理解しているが、しかし元音への好感度を示そうとすると、まだ彼女レベルには到底及んでいないだろうと断言できる状況だ。
彼が優しすぎるからこうして今回誘ってくれていたのかと思ってもいたが、久土和がファミレス会合に呼んでくれた真の理由は、きっとこの噂の事で元音に確認を取りたかったからなのだろう。
勿論、久土和が見学に来てくれたからと元音を誘った理由も決して嘘ではないだろうが、噂に関しての心配が彼にはあったのだ。それは元音への配慮で溢れており、彼の美しい優しさに元音は体が震えるのを感じていた。
「噂の否定、必要ないよ!」
そうして元音は強く、はっきりとそう断言してみせる。
「わたしが久土和くんの事大好きなのは嘘じゃないから。確かに噂の的になる事には慣れてないけど、でも久土和くんへの気持ちを、注目を避ける為に否定したくないの。それなら噂の的になった方が全然いい」
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