第十九話『転変と気付く乙女』

1/7
前へ
/251ページ
次へ

第十九話『転変と気付く乙女』

 それから本格的にテスト準備期間に入り、元音(もとね)は試験勉強に追われていた。  この期末テストが終われば、楽しい楽しい修学旅行が待っている。そんな思いで勉強に勤しんでいた。  一科目でも赤点を取った者は夏休みの補習に強制参加となる。その為それは避けねばならないと必死に勉強する日々を送っていた。そして明日からいよいよ期末テストが待ち受けている。  元音が放課後の教室で自習を終え、帰り支度をしていた時だ。  ガラッと教室の扉が開かれ、なんとそこから久土和(くどわ)が現れたのである。勉強を頑張ったご褒美だろうか。 「おっ平ちゃん! おつ! 勉強してたのか?」 「久土和くんっ! お疲れ様っ!! そうだよ、これから帰ろうと思ってたとこなんだ〜」  疲れていたはずの元音は何故か回復している気分になる。それもそのはずだ。大好きな人にこうして会えたのだから疲れが癒えても何らおかしくはない。  元音は弾む気持ちで彼に笑顔を向けると、久土和も笑みを返しながら「そうか、偉いな!」と嬉しい賛美を送ってくれていた。 (えへへへへへ、王子様に褒められちゃった、さいっこう)
/251ページ

最初のコメントを投稿しよう!

20人が本棚に入れています
本棚に追加