第二話『行動』

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久土和(くどわ)くん……すき……」  元音(もとね)はいつものルーティーンを終えると自室の布団の上で抱き枕を強く抱き締めながらゴロゴロと身体を動かす。  そうして愛しの王子様の名を口に出しながら彼への想いを募らせていた。彼を好きになったあの瞬間から元音はずっと久土和の事だけを考えている。 「明日も……学校だ、久土和くんに会える」  好きになった途端、彼への呼称が変わった。  それは彼が本当に特別な存在であるのだと、分かってしまったからだ。『久土和』と呼び捨てにしていた自分はもう卒業だ。彼にときめいたあの時から、元音は久土和を呼び捨てにはしたくなかった。 「連絡先……教えてもらえるかな」  思い立ってはすぐ行動が自身の拘りである。元音は久土和の連絡先を入手しようと考えを巡らせるとそのまま睡魔に襲われいつの間にか眠りについていた。
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