第二話『行動』

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「おはよ〜」  翌朝になり、元音(もとね)が教室に入ると数人の生徒と挨拶を交わす。そして自席に到着する手前で一人の男子生徒に話しかけられた。 「鉄平(てつひら)、今日お前日直だぞ」 「えっ、忘れてた」 「日誌テキトーに書いとくから後でお前も空欄はでっち上げといて」 「オッケー。米倉(よねくら)が書き終わったら渡して〜」  そんなやりとりを交わして米倉が立ち去っていくところで元音はようやく自席に着席した。  そうしてこちらの方へ足を運んでくる友人ら――可菜良(かなら)赤内(あかうち)美苗(しえ)に視線を送ると元音はすぐさま「ねえ聞いてっ!」と声を発した。久土和(くどわ)が自分の王子様だったと言う事をこの二人に話したくて仕方がなかったのだ。 「おっどうした? いつもよりテンション高め?」 「元音が前のめりなんてめずらし〜なになに?」  元音の元へやってきた美苗と可菜良はそう言って興味津々な様子でこちらに問い掛けてくる。元音は早まる気持ちを抑えながらあのねと声を出し言葉を続けた。 「久土和くんの事、好きになっちゃった」  二人にだけ聞こえるように声を顰め、そう告白をすると二人は揃って同じような心底驚いた反応を見せ始める。 「えっまじ!?!?!? 昨日の今日で何があった!?」 「久土和って全然王子じゃないじゃん……!! どういう事!?」
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