第二十三話『ハイパーミラクルスペース級急展開』

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第二十三話『ハイパーミラクルスペース級急展開』

 幸せな思い出ばかりの修学旅行は終わりを迎え、元音(もとね)は補習に出向いていた。  あれから一週間が経過し、久土和(くどわ)との楽しかった時間を思い出してはにやけ、幸福な思いで日々を過ごしていた。  そして今日が、再び久土和に会えるビッグイベントなのだ。 『俺も明日補習だぜ! 頑張ろうなー!』  久土和とレインをしているのは相変わらずの事であり、彼からも確実に明日は学校に行く日なのだと確認も取れている。そのため久土和が今日の補習メンバーである事は間違いなかった。  元音の通う高校は期末試験で赤点を取った生徒が夏休み、強制的に補習に参加する制度となっているが、補習は二日間に分かれており、科目ごとに時間が変わってくる仕組みだ。  それぞれ一科目五十分の時間割となっている。  元音は数学の赤点を取ってしまったので、二日目の十五時半から一時間の補習を受けることになっていた。  そして久土和は生物以外は全て補習のようで、ほぼ丸二日間補習を受けることになってしまったのだと、レインで教えてくれていた。 (補習だらけの王子様も可愛いよねえ……ふふっ)  久土和が勉強を出来なくても何ら問題はない。彼の存在そのものが元音の気持ちを高めてくれるのである。  元音は久土和への愛おしさを電車の中で強く募らせながら補習会場へと向かうのであった。
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