第二十三話『ハイパーミラクルスペース級急展開』

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 久土和(くどわ)は自身の本音を彼女に放つ。  いつも真っ直ぐこちらに好意を伝えてくれる鉄平(てつひら)に久土和は感謝をしているのだ。期待に応えられない不甲斐なさはあるものの、彼女はそれでも構わないと言ってくれていた。  そして彼女の行動は決して独りよがりのようには見えなかった。久土和にも気持ちを確認し、こちらが嫌だと言えば鉄平は自分の行動を改めるのだろうと、そんな姿勢が窺えていたのだ。  しかし久土和にとって彼女の行動を嫌だと感じたことは本当に一度もない。だからこそ、今良い関係が築けているのだろう。 「か、可愛いっていうのはちょっと……反則というかゴニョゴニョ」  すると、鉄平は顔を俯かせながら両手を合わせ、目線を窓の方に向けてそんな事を口にした。久土和はそれに対して感じたことをそのまま口に出す。 「ん? そうか、じゃあ可愛くなくないよでいいか?」  可愛いという単語が駄目だったのだとそう判断したからこその台詞なのだが、鉄平はその言葉にも極端な反応を見せると真っ赤な表情を更に真っ赤にさせて再び口を開く。 「そっそれもちょっと……」  これも駄目なのか。彼女が否定する姿勢が不思議だった久土和は、無意識に眉根を下げて「じゃあどうしたらいいんだ?」と彼女に問い掛けてしまっていた。これでは彼女に迷惑かもしれない。だがそう思った時、鉄平は予想外の反応を見せていた。 「可愛いに触れるのは一旦、タンマで!!」  先程以上に真っ赤に染まり上がった鉄平は、今最高潮に顔を赤らめさせている。  なぜこうも紅潮しているのかと、しばらく考える久土和は、そこでようやく理解することが出来ていた。鉄平は久土和の発言一つ一つに照れているのだと。 「……っ」  そしてそれを理解した途端、顔が熱くなっていた。目の前にいる鉄平も真っ赤なので二人揃って顔が赤い状況だ。
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